Daltonの法則、Raoultの法則、Henryの法則

twitter上でてんやわんやしてしまい。
くやしいのでまとめることにした。

発端は、
薬局に売ってる無水エタノールってなんだろう。
理論的にエタノールを100%濃縮できない理由ってなんだっけ。
という会話から。

回答

wikipediaによると。

共沸と精製
水とエタノールの混合液を蒸留によって、二つの成分に完全に分離することはできない。

これは水とエタノールが共沸をするためであり、
この時の共沸混合物はエタノールが96%(質量パーセント濃度)、水が4%であるため、
通常の蒸留によって得られるエタノールの最高濃度はおよそ96%である。

含水エタノールは酢酸エチルあるいはベンゼンなどの成分が存在すると、始留に水分が集まるようになる。

薬局方にある「無水エタノール」を作るときは、この三成分共沸によってさらに水分が除かれたのち、分別蒸留でさらに精製される。

http://ja.wikipedia.org/wiki/エタノール

関連法則の復習

"改訂第2版 化学熱力学中心の基礎物理化学"を参照する。

Dalton,Raoult,Henryの法則が、ごっちゃになりそうなんで、復習です。

Pは、全圧。
pは、分圧。
iは、成分iを表す。

Daltonの法則

「全圧は、分圧の和。」
P = p_A + p_B + p_C + ... = \sum p_i

Raoultの法則

「溶液に含まれているある成分の蒸気分圧は、溶液中のその成分のモル分率に比例する。」
p_i = x_{i}p_{i}^{*}
p_{i}^{*}は、成分iの純粋液体が示す蒸気圧。

Raoultの法則が全組成範囲で成り立つような溶液を、理想溶液という。

成分1と2からなる二相溶液を考えてみる。

p_1 = x_{1}p_{1}^{*}
p_2 = x_{2}p_{2}^{*} = (1-x)p_{2}^{*}

Daltonの法則より全圧Pは、以下となる。
P = p_1 + p_2 = x_{1}p_{1}^{*} + (1-x_{1})p_{2}^{*} = p_{2}^{*} - (p_{1}^{*}-p_{2}^{*})x_{1}

Henryの法則

内容的には、Raoultの法則とほぼ同じ感じだが、
Henryの法則に関しては、「理想希薄溶液」に関してのもの。

実際の溶液は非理想溶液であるが、
希薄領域においては理想溶液的に取り扱うことが出来る。

 p_{i} = k_{H}x_{i}

Raoultの法則とは異なり、
「比例定数に純粋液体の蒸気圧ではなく、k_Hを用いている」点に注目。

k_H = p_{i}^{*}であれば、
Raoultの法則となる。

この法則は、
溶質が気体でなく、気体や他の液体の溶解の場合にも適用できるらしい。

発展

この話の次に、化学ポテンシャルの話が載ってるけど、省略!笑
さらに、実在の溶液に関してのGibbs-Duhemの式とかに展開していく。

興味のある人はどうぞ。